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保阪正康「あの戦争はなんだったのか」

※当時、どの国にも、侵略的側面があった。英国、ソ連中国国民党中国共産党、フランス、オランダ、すべて例外なく、侵略国同士の衝突だった。

 ただ、保坂のように、日本だけが神がかった、愚昧な国だったと考えるのは間違いだ。

 この時のアメリカの錯誤は、ドイツ、ソ連中国国民党中国共産党よりも、日本は交渉の余地がある国だという認識がなかったことだった。

 たしかに、当時の日本は幼稚であり、間抜け、愚鈍、神がかってもいたろう。

 しかし、あらゆる国の指導者にそういう側面はあった。また、あらゆる国は、戦争に直面すると、統制的社会になっていた。

 保坂はドイツとイタリアの「第三帝国」の建設や「古代ローマへの回帰」は書くが、「大英帝国」「アメリカ」「ソ連」「フランスの植民地維持など」のそれぞれの世界戦略はまるでないかのようなのだ。

 どの国の国民にとっても、被支配層にとっては、その国の指導層と多数派の行動は愚劣で神がかった状態で戦争を行っているように見えるのである。ただ皮肉なことに、それぞれに、どのように、軍国的だったかを把握する事ができるか、それは社会主義国の統制下では隠ぺいされがちであり戦勝国は反省の動機が少ないゆえに、意識化されにくいことだ。

 杜撰な計画。無謀な計画。非人道的な計画。戦況の悪化、苦戦。責任回避。不都合な情報の隠ぺい。これらの評言にふさわしい状況は、すべて中国国民党共産党、アメリカ、ソ連、ドイツにもそれぞれにあてはまる事柄だった。

 たとえば、それはアメリカの政権中枢部における共産主義者と自由主義者の長い暗闘が続けられていたことから、さまざまな軋み、錯誤、失敗がアメリカ自身にも起きていたし、ソ連はもとより、スターリンの独裁下での、社会主義革命政権拡大の意思を秘めた戦争であった。

 保坂は、まるでアメリカはアメリカ国民にすべての情報を公開したうえで、あらゆる点で、人道的、合法的に戦争をし、アメリカの戦略、戦術はすべて賢明であるかのように、記述している。

 だが、実際には、アメリカ自身、戦後、当時のルーズベルト政権が多くの点で、アメリカ国民をだまして、戦争をはじめた事、多くの点で、戦術を誤まったために、死ななくて済んだ多くの兵士を犠牲にしたことが論議されている。

 また、アメリカもまた、プロパガンダによって、露骨に国民を戦意高揚に駆り立てていた。
 それはソ連、英国にしても同じことだったが、日本国民が知らない事につけこんで、保坂のような左翼心情の持ち主は日本国民の日本国への嫌悪感をうえつけようとしているのである。

 戦争を嫌悪すること自体は、正常な感覚である。
 問題は、第二次世界大戦の当事国は、すべてどの国も、正義で賢明な行動で一貫し、罪なき国民の生命を大事にしながら、戦争をしていた国など一国たりともないという事実を明確に自覚することなく、ただ日本の愚鈍、卑劣、無謀、非道を言い立てる異常性に気が付くべきなのである。


 アメリカの失敗

 1.共産主義のやっかいさを軽視して、ヤルタ会談で、ソ連満州、朝鮮への侵略の口実を与えて、そのために、その後、アメリカ国民をふたたび、戦争の惨禍に巻き込む火種を作った。

 2.原爆投下を実戦使用して、その後のアメリカ国民の内心に深い良心の傷を負わせた。
 トルーマンは、ルーズベルトが死ぬまでは、原爆の存在さえ知らなかった。
 ルーズベルトが生きていれば、実際に使用したか、無人島で爆発させる威嚇にとどめたかはわからない。ルーズベルトの失敗は、自分で采配した原爆開発計画とその使用の是非について、トルーマンと詰めて相談をしていなかったことも含まれる。

 3.同じように、フルシチョフスターリン政権をさんざんにののしっている。

 4.韓国の朴正煕とて、朝鮮王朝最後の血筋の李ぎん殿下が存命であるのを知りながら、大韓帝国を再興しようとはしなかった。高宗は日本からの独立を願っていた、と韓国は解釈するのだから、その末裔を王に復帰させればよかろうに、それを怠った。

 5.保坂は日本国民の「アメリカ軍が来たら竹槍で刺し違える」と言っていたのが、従順に占領ににしたがった事について「歴史に類がない」というが、「歴史に類がない」というのは、韓国人の口癖である。歴史に類例などはある。ドイツがそうであり、韓国人がそうだ。
 保坂は「それが日本人の国民性」「この国日本の体質」だというが、それを言うなら、保坂に言わせれば、日本に被害を受けたはずの東南アジアや台湾の人々に親日感情が少なからずあるのは、それも「彼らアジア諸国民の国民性」なのか。

 6.保坂は敗戦後の高度経済成長を日本の猪突猛進のせいにして揶揄している。
 そうではない。まさに、共産主義と決別して、対決姿勢をあらわにしつつ、日本に援助し、日本を自由な通商国家に成長させた自由主義国の支援があったからで、それを「猪突猛進」と言ってはまったく話がちがう。

 7.保坂は私たちの社会観、人生観の不透明な部分に切り込みたい、というが、まさに保坂のソ連、アメリカ、フランス、英国、中国、朝鮮にも、それぞれに重大な欠陥、非人間性、失策、愚鈍があることがわからず、日本だけが特別異様な国民性を持つと考えるその異常性を自覚すべきである。

 8.保坂は「敗戦」記念日、「9月2日」が正しい、という。そんなものは、保坂がいくらでも、言い続ければいいではないか。

 9.なんのことはない。保坂の言いたいことは、日本人の国民性の「愚鈍」「猪突猛進」「隠ぺい体質」が戦争の原因で、国民性ゆえに、今も同じだと言いたいのである。

 くだらない。

 それを言うなら、韓国人の事大主義が昔は唐、元、明、清と属国化を生み、日本の植民地支配につながり、今はアメリカの植民地になり、北朝鮮は中国に生殺与奪の線を握られていると言う話になってしまう。保坂は、ただ、日本人は嫌いだと言っているに過ぎないのだ。
 たとえば、保坂は以下のようなアメリカの欠陥をアメリカ人の国民性だとでもいうのだろうか。

2015年12月にNHKで放映された「戦争とプロパガンダ」によると、
 1.アメリカは日本の民間人を殺害することを正当化するプロパガンダ映像を作った。
 2.日本の女性や子供の遺体の映像をアメリカ政府は隠ぺいした。
 3.アメリカは、アメリカ国民の戦意高揚を目的として、最前線を撮影して、都合よく編集して、国民に見せた。

 その中心になったのは、財務省のモーゲンソー長官だった。
 モーゲンソー「刺激が強いほどありがたい」

 戦意高揚させて、戦時国債を大量に売り出した。
 「かけがえのないものを守るには、戦費が必要です」とドラマの主人公に言わせ、それでも、売れ行きが芳しくないので、「アメリカ軍が苦戦する光景」の実戦映像を見せた。

 用意周到に、大統領は、アメリカ兵の遺体はカットせよ、命じた。だが、やがて政治判断によって、ショッキングな、アメリカ兵の遺体を見せて、これを学校で上映して、戦意高揚ができたので、国債は飛ぶように売れた。

 アメリカは「ホームフロント」国内の国民一人一人に戦争を支えようと、歌と映画で呼びかけた。

 ※日本は日本でプロパガンダを朝日新聞と映画会社を先頭に、勇敢な兵士像を伝え、アメリカは鬼だと教育して戦争をあおった。また、朝日新聞や映画会社は、日本の民間人の自決を讃える記事や記録を国民に流した。実際には、覚悟の自決ではなく、恐怖に追い込まれて自決したほうが多かったが、日本のメディアは英雄扱いした。

 このような日本の民間人の自決を、アメリカ政府は、「日本は民間人もともに戦って、自決も辞さない奇妙な人たちだ」と宣伝した。

 いたましい自決の映像は、日本人への同情心を呼ぶ事を警戒して、カットされた。

 実際には、投降する民間日本人はいたが、タイム誌は、日本人は狂信的だと、宣伝した。
 真実を知っている大尉が、タイム誌に抗議の手紙を送ると、手紙は、検閲されて、大尉は、軍の上層部から、タイムを批判するな、と止められた。

 アメリカは火炎放射器で情け容赦なく、日本兵を焼き殺した。

 疲弊しきったアメリカ兵の姿はの映像は隠して、勇猛に進軍する姿だけを流した。
 また、日本兵の遺体を冒とくしたり、無意味に残虐な攻撃をする姿はカットした。

 注意すべきは、英国やフランスの植民地支配は残酷だったのであり、ソ連、ドイツはもっとひどかったに違いないというのが、全体主義社会の恐ろしさを知るわたしたちには容易に想像できるが、言論の自由度の高い日本、アメリカこそが、自国の暗部を内省し、公開するが、韓国、中国、ロシアは自国の暗い過去を国民にいまだに知らせないのだ。保坂正康は、日本だけが、「愚鈍な,国民性」を具有していると考えたがっている。