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立花隆「天皇と東大」を読む 1

立花隆天皇と東大」

昭和20年1945年

8月14日停戦。

8月15日、ポツダム宣言受諾停戦命令

8月22日 ソ連潜水艦が、樺太からの婦女子を乗せた日本の非武装引き揚げ船三隻を魚雷攻撃して、5千人のうち、1千6百人が死亡した。

 

続いて8月27日には、「佐渡から満州にわたった農民開拓団が、満州の荒野を逃避行する中、

ソ連の戦車と空襲爆撃によって、三千人のうち、二千人が命を落とした。

 

 9月2日、ミズーリ号上で、降伏文書に調印。

 Subject to 

 というわけで、国家主権を喪失する類の敗戦であり、アメリカ・メキシコ戦争、アメリカ・スペイン戦争、日清・日露戦争、あるいは、朝鮮戦争ベトナム戦争のどれともちがって、主権の喪失に至る敗戦であった。

 

 大東亜戦争とは、1937年7月の日支事変から、1941年対米開戦を経て1945年9月2日までの8年戦争である。

 

 これは、満州事変が対ソ連強硬派による行動であったが、シナ事変以降、敗戦までは、一貫して親ソ反英米派主導の、まったく異なる行動であったという認識によって、満州事変とシナ事変とそれ以降を切り離すもので、満州事変からシナ事変の期間とか、講和のあったことをもって、切り離すのではない。

 

 なお、15年戦争(14年)を主張する場合に限って、その論者は、出自として、親ソ連マルクス主義者である。すなわち、ソ連の南下政策に脅威を与えた満州事変と満州国建設をもって、ソ連のというマルクスレーニン主義正統の社会主義国家の歴史的流れに抗する反動帝国主義国家の動きが始まったのが、1931年満州事変で、それ以来、帝国主義戦争、すなわち、米帝国主義と日本帝国主義の両独占資本主義国双方が植民地争奪戦を行って、その片方が自爆自滅して、社会主義革命を目と鼻の先までの情勢になったが、右傾化して、社会主義革命に至らなかった、残念無念というのが、15年戦争の意味である。

 

 さらには、満州事変を歴史の起点とすることによって、ロシアソ連が継承した専制ロシア帝国のモンゴル、満州、朝鮮、樺太、北海道のロシア領土化と、ソ連(ロシア)海軍の日本海、太平洋、南シナ海、インド洋の自由航行の野望を、日本国民に見えないようにしてあげるための、「満州事変」強調である。

 大東亜戦争という日本の大失敗は、フランス、英国の植民地支配を終わらせる効果をもたらしたが、それだけではない。その後、長い間、東南アジアは、共産主義のキリング・フィールドでもあった。このキリング・フィールドは、日本がソ連に対峙せず、米英に自爆的に向かっていって、ソ連に思うがままに、樺太、千島諸島、満州、朝鮮を占領させ、これによって、中国共産党を支援することを可能にして、中国民衆は毛沢東大躍進政策によって、4千万人が餓死する悲惨な状況におかれ、中ソの支援する北朝鮮の起こした朝鮮戦争は、300万人の朝鮮人、100万人の中国人を死なせることになった。また、朝鮮人のかたくなな、血で血を洗う抗争は、国連軍をも。文字通り、「巻き込んで」家庭ある父親や息子を朝鮮の酷寒に死なせることになった。

 

 この時、極力、無傷でいられたのは、ソ連であり、ソ連の支援により、ベトナムカンボジア、フィリピンによる共産主義ゲリラによる凄惨な同民族殺戮が行われた。

 

 現在の日本では、毎年8月中旬から9月にかけて、東京空襲、沖縄戦、広島、長崎の戦没者に対して、慰霊祭、追悼の式が執り行われるが、大半は、反米反基地闘争を行う団体が主体となって行われているので、反米に役立たないソ連の所業による犠牲者は放置されるのが常である。

 

 このような、ソ連の行った東南アジアのキリング・フィールド化は、日本政府の、英米資本主義国に対する自爆戦争と社会主義革命の準備としての、貧困の極みの完遂によって、通路を大きく開けることによって始まった。

 

 この反ソではない、反英米を決意した張本人たる近衛文麿の最重要アドバイザー、朝日新聞の現役記者尾崎秀実が担った役割は次の事項である。

 1.日中講和阻止

 2.南進誘導のための蒋介石国民党敵視論文の朝日新聞、および改造、中央公論などの雑誌発表。

 3.日独伊三国同盟締結に世論を誘導して、その結果、英米の仮想敵国をソ連よりも日本に誘導すること。

 一方、尾崎秀実と新聞記者時代から懇意で、マルクス主義の解説記事を信濃毎日新聞に執筆していた生粋の共産主義者、風見章は、共産主義思想を押し隠して政党政治に入り込んだあと、近衛文麿の側近、(現在でいう官房長官)になって、社会主義革命に目覚めぬ労働者・農民をあえて貧困のどん底に叩き込んで、暴力革命、暴動に立ち上がれとばかり、貧困化を進めて、それは、1941年の対米宣戦布告の1年前には、すでに日本は「ネオンサイン廃止」「ダンスホール閉鎖」「ぜいたくは敵だ」というように、貧困の一途をたどっていた。

 ちょうど、電気の点灯する時間のほとんど無い北朝鮮が、中国共産党ではなく、資本主義アメリカを憎むように、日本国民は憎き、列強、憎き鬼畜米英という妄想へと誘導され、ソ連・ロシアの長期戦略であるアジア南下、アジア支配という危機の観念はすっかり日本人から消え失せた。             続く)

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