日本共産主義者黒書

日本共産党黒書

 

日本共産党は、革命について次のように考える。

まず明治維新については、ブルジョア革命の失敗したもので、徳川幕府解体とともに、京都の皇室も解体してしまえば、ブルジョア成功、すなわち、貴族ではなく、市民にあたる、足軽が権力を握ったもの、ブルジョア革命といえたが、皇室が存続した分、ブルジョア革命とはいえない、というのである。

 

 そして、唯物史観では、まずブルジョア革命があり、次にプロレタリア革命があるという順番でなければならないから、ブルジョア革命、すなわち、皇室廃止が終わっていない以上、まずは当面、なんとしても、皇室廃止が目標になる。

 

 その次がプロレタリア革命なのだ。

 

 皇室廃止の方策としては、実は本当のところ、皇室典範は、皇室自身の家族法であって、国民の容喙するところではないのだが、「国民主権」の思い込みの強さを利用して、何にでも国民が口出しして自分で決めるのが進歩的、民主的とばかりに、皇室には口出しさせず、あくまでも政党の代表者たちの討議によって決めるように誘導してやることが肝要。

 

 そして、天皇もまた、人間であり、一個人であり、職業選択の自由があるのだから、と嫌なら辞めていいんですよと、国民のやさしいおもいやりを見せて、皇室典範に、「譲位」ではなく、「退位の自由」も大いに認めてあげればいい。

 

 さらには、女性天皇にしてあげて、女性天皇がやはり人並みに結婚してみたい、子供も産みたい、普通の家庭生活がしてみたい、女性天皇では、誰もだんなさんのなり手がないと不満をもらしたら、退位の自由があるんですよ、ほれこの通り、皇室典範に、と辞めさせてあげればいい。

 

 そうなったら、ブルジョア革命の完成だから、次は、財閥、地主の財産を取り上げるプロレタリア革命が課題になる。

 

 本当は皇室廃止は、日本敗戦直後に、

  • 英国王室を離脱否定した共和制アメリカとプロレタリア革命をすでに成功させたソ連の共同によって、
  • 戦争責任を表面上の口実にして、その実、歴史の必然性、すなわち、ブルジョア民主主義実現のための革命として、昭和天皇を退位に追い込んで、そのまま、天皇制そのものを廃止しようと期待したのだが、反動米帝国主義は、プロレタリア独裁国家ソ連に対抗するために、日本の後進性を温存しようと企てた。このため、皇室は存続して、今日に至っている、残念無念。

 

さらにこれに加えて、プロレタリア革命戦線には、戦闘的女性多数の参加があれば都合がよく、選挙投票による革新勢力への女性の積極投票、反ナショナリズム、反国防の運動への女性参加が社会革命と政治革命のパワーを倍加させる。

 

 もし、そうした女性の女性自身による自立と解放、女性の力をつける過程で、男性に対する敵意をモチーフにしたいなら、大いにそうした心情も活用するがよかろう。

 

 結局は、女性の解放、すなわち女性の地位の向上がプロレタリア全体の解放の助けになるのである。

 

 ところで、日本共産党員は今でも、尾崎秀美とゾルゲが何をしようとしたかがわかrず、「大戦争を回避しようとした」と結論づけている人が多いと推測される。

 まさか、アンケートを取るわけにもいかないので、推測、というのだが、というのも、ウェブサイトの日本共産党の党員と思われる人物の文章に、わたしはこれまで「ゾルゲ事件」や尾崎秀実についてもほとんど知りませんでした。彼等が何故命を賭けてスパイ行為を働いたのか。それは大戦争を回避するためでした。」という文章があるからだ。

 しかし、「大戦争を回避する」とは、意味不明ではないか。

 実際に尾崎秀実がやったことは、主に二点である。

 1.中国と日本の武力衝突を泥沼化させる下地作りのために、朝日新聞、および「改造」「中央公論」で蒋介石国民党、許すまじと、戦争世論をあおった。

 2.これが効を奏して、南進が決まった時、すかさず、その最新機密情報をゾルゲに伝えて、ゾルゲはソ連共産党に報告。ソ連はこれで日本に警戒して割かねばならぬ武力を安心して、対ドイツ戦に投入した、ということである。

 

 わたしはこれまで「ゾルゲ事件」や尾崎秀実についてもほとんど知りませんでした。彼等が何故命を賭けてスパイ行為を働いたのか。それは大戦争を回避するためでした。」

という見方はもちろん、意味をなさない。共産党といえば、平和を求めてやまないという思い込みから、「大戦争を回避するため」などと、いったいどことどこの戦争が大戦争なのか、まったくわけのわからない事を言っているのである。

  ところで、日米戦争のさなか、中国共産党は、次のようにおせっかいにも、日本共産党野坂参三天皇を攻撃せよとハッパをかけた。

今日の東條内閣は軍事フアシズムの独裁政権である。しかしわれわれは、戦争を引き起こした『首謀者』がまったく軍閥だけであるというのは、同意できない。『軍閥独裁打倒』は日本の民主主義革命の重要な任務であり、戦時における中心的任務であるといえるが、しかし、断じて唯一の任務ではない」「軍部が新たに立てた錦の御旗は天皇であり、天皇が封建的特質の象徴であり、また大財閥でもあることをぜひとも知っておかなければならない」「軍閥及びその一味は当然打倒すべきだが、天皇及び、財閥はとりわけ徹底的に打ち倒さなければならない。天皇と財閥は軍部の下部に属する支流とはいえず、彼らはともに帝国主義の主人公である。だからわれわれは日本解放の綱領は旗幟を鮮明にし、天皇と財閥をともにともに打倒すべきものの列に加えることを主張する」

重慶『大公報』社評『日本人民解放連盟綱領草案』(野坂参三執筆を論評) 

 

 

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