林淳治著 「ヒトラーはなぜユダヤ人を憎悪したか」

林淳治著 「ヒトラーはなぜユダヤ人を憎悪したか」

 

この本のあとがきには、「日本軍がベトナムに進駐したのも、アメリカから石油の全面輸出禁止の制裁を受けたからである。」238ページ。

 と書いてある。

 

 日本の戦前・戦中史の知識はこのように、知識人でさえ、頭の中が混乱しているのである。実際には、アメリカの石油全面禁輸があったから、ベトナムに進駐したのではなく、ベトナム進駐のあとに、アメリカの石油禁輸措置があった。

 

 1940年に日独提携のあとに、くず鉄禁輸。1941年に銅禁輸。

 この後に、日本は1941年、6月25日、大本営政府連絡会議で、ベトナムサイゴン進駐を決定する。

 

 アメリカは野村大使にサイゴン進駐するなら、石油禁輸すると警告。

 日本はこれを無視して、7月28日にサイゴン進駐開始。

 

 8月1日、アメリカ、日本への石油禁輸発表である。

 

 以上のように、石油禁輸が先で、サイゴン進駐が後ではない。

 

 しかし、なぜか林順治は、「日本軍がベトナムに進駐したのも、アメリカから石油の全面輸出禁止の制裁を受けたからである。」と書く。

 どうしてこういう間違いをするのか、理解しがたい。

 

 しかし、反安倍政治の林と逆の右翼的な人も石油禁輸制裁で追い込まれたから、やむを得ず戦争になった、という人がいるが、そんな事は無い。

 

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