汚辱の朝鮮史 ヘンドリック・ハメル「朝鮮幽囚記」書評

ヘンドリック・ハメル「朝鮮幽囚記」より

1655年、日本は徳川幕府四代家綱、李氏朝鮮孝宗(ヒョジョン)の時代。

父、仁祖は現代韓国では傀儡王とも非難される。清国に跪いて臣下の礼を取らされたのが、孝宗(ヒョジョン)の父である。

 この時代にオランダ人ヘンドリック・ハメルら36名が済州島で難破して漂着。彼らオランダ人は帰国を望んだが、なぜか、(非人道的だったからだろう)朝鮮王朝は彼らに帰国の許可を与えることはなく、ソウルに連行して、宮廷守備の訓練都監(フンリョントガム)なる名称の部署に配属した。

 そして、宗主国清国の使者が来ると、朝鮮王朝は彼らの存在を隠して拘束していたが、帰国を望んでやまないオランダ人のうちの二名が拘束を逃れて、清国の使者にすがって、帰国を嘆願すると、朝鮮王朝は卑劣にも、清国の役人に多額の賄賂を渡して、黙認するよう求めた。

 訴え出たオランダ人二名は、なんとも残酷なことに、朝鮮王朝の手で処刑されてしまったという。

 

 この時点で生存者は33名になっていた。

 朝鮮王朝は、彼らオランダに帰国を望む者たちの願いを聞き入れることなく、現在のソウル、から全羅道に移送して兵役に従事させていたが、その待遇は劣悪で、時に物乞いをして飢えをしのぐような有り様だったという。

 

 漂着から二年後に清国の役人に取りすがり、それからさらに、全羅道で過酷な幽囚の日々を強いられたオランダ人たちは、10年後の1666年には、生存者が16名になっていた。多くの者は自殺したり、病死したのであろう。

 この年、16名のうち、8名が脱出に成功して、8月、日本の五島列島にたどりついて、江戸幕府は彼らを長崎奉行所に送って事情を聞き、オランダ人たちが帰国を望んでいることを知った。

 

 ここで江戸幕府は、朝鮮王朝とはちがって、オランダ人の帰国の願いを了解してはや、11月には、ハメルたちは、バタビヤに到着したのである。

 さらに幕府は、ハメルたちが、まだ朝鮮には8名がとらわれている、というのを聞いて、残るオランダ人たちがさぞ故郷に帰りたかろうに、と朝鮮王朝に対して引き渡しを要求。

 

 おそらく、朝鮮王朝は事を荒立てては宗主国清朝に知られてなにゆえにそういった事を隠して勝手な事をしているのか、と譴責されることを恐れたのだろう、江戸幕府の要求を受け入れて釜山に移送。幕府は長崎の出島にあるオランダ商館に渡して休息を与えた後に帰国させたのである。

 

 この時のオランダ人のうち、ハメルという人物が朝鮮について手記を残していた。

 それによると、なんと朝鮮人は、すでに徳川綱吉の時点で、オランダ人に対して「朝鮮が貧しいのは、日本や清国の侵略のせいだと、自国の貧しさの理由を他国のせいにしていた」という意味の事を語っていた。

 彼らオランダ人が漂着して、朝鮮に幽囚されていた頃は、1653年頃だから、文禄・慶長の役が1592年から5年間なので、約35年前の5年間のことについて、朝鮮の貧しさを日本のせいにしていたことになる。

 

 ハメルは朝鮮滞在中に、朝鮮人の悪習を目撃して衝撃を受けている。

 何らかの理由、酒乱かなにかで夫の暴力にたえかねてか、ある女が夫を殺害して捕らえられた。

 その女は、多くの人の通行する道ばたに肩から下を土に埋められて首から上を出した格好にさせられて、傍らにはのこぎりが置かれてあり、通る人は、おそらく見せしめなのでしょう。のこぎりでひくことを強要されるのだという。

 

 今の北朝鮮公開処刑の際に死刑を見ることを強要されるのに通じる残虐性があります。

 

 ハメルが聞いたところによると、殺した側が夫であった場合には、納得のいく理由があれば、無罪放免になるというのですが、どんな理由なら、無罪で、妻殺しが許されるのかわかりません。浮気、不倫、他の男にてごめにされた場合も強殺されてそれきりだったのかもしれません。

 

 そういった当時の正当な理由というものがなく、夫が妻を殺害した場合には、罪人に大量に水を無理矢理のませるのですが、その水は、死体を洗ったあとの汚く、くさい水なのだそうです。そしてこれを大量に飲ませたあと、腹を思いきりたたいて、胃を破裂させて死にいたらしめる。

 

 また、盗人については、これは非常に多く、足のうらを執拗にたたいて苦痛でさいなんだ末に死にいたらしめる。

 

 朝鮮人の男性は妻をどれいのごとく扱い、ささいなことで妻を追い出すが、ほとんどの場合、子供は妻に連れていかせる。そして後妻にまた子供を産ませるので、人口が多いのだろうとハメルは推測している。

ハメルは朝鮮人の国民性として、非常に「盗み」「ウソをつく」「人をだます」者が多く、他人に損害を与えることは、むしろ手柄、自慢のたねであり、朝鮮人を信用してはいけない、と書いている。

 

 現代に通じるものがあることに驚きます。

 

 ただハメルはこう言っている。

 朝鮮はタルタル人(女真人・清国のこと)が朝鮮の主人になるまでは、非常に豊かで楽しい国だったと聞いているが、日本人(豊臣秀吉)とタルタル人に国土を荒らされてしまって、極貧になったらしい、と。

 

 これなどは、現在の欧米のマスコミが日本の「従軍慰安婦20万人強制連行」を鵜呑みに信じていることに似て、ハメルは、朝鮮人の説明を信じて、昔は豊かだったのか、この国はと信じていたことになる。

 

朝鮮幽囚記 (東洋文庫 132)

朝鮮幽囚記 (東洋文庫 132)

 

 

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