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大東亜戦争否定論

大東亜戦争否定論

 日本人の「平和論」は日本以外のどこにも存在しない非常に特異な平和論である。

 そのことは、韓国が朝鮮戦争ベトナム戦争についてなんら「平和主義」によって断罪していないことでもわかる。話し合いをしていれば、よかったのに、なんで朝鮮戦争ベトナム戦争なんかしてしまったろう、なんて反省を韓国人がするわけがない。

 

 ところが戦後日本人の平和主義とは、「あらゆる話し合いの手立てを尽くして戦争は食い止めるほかない絶対悪であり、やむをえない戦争、悔やまずに済む戦争、反省の不要な戦争などないのだから、戦争はすべて悪だという考え方だ。

 

 しかし、これは韓国人のほうが、世界的に普通の発想で、日本人のほうが世にも珍しい発想というしかあるまい。

 

 戦後日本の絶対平和思想は、とりあえず平和でさえあればなんでもよく、(とは言っても、豊かな生活が平和の当たり前の生活と思い込んでいるわけだが)占領下でも、たぶん話し合えば、相手は優しく接してくれるの違いないという期待を頑として手放なさないのが日本人の平和主義だ。

 

 韓国が実際に、日本から侵略されたら、受けて立つ事ができるだけの軍事力があるかどうかはともかく、世界のどの国よりも、韓国は日本に対して常々、危ない国、ちょっと目を離すと韓国を侵略しかねない国と指摘してやまない。そして、もし、日本が軍国主義化して、韓国を侵略するならば、いつでも戦う用意があるぞ、という態度だ。

 

 けっして、日本人のように、相手が万が一バカな事を考えて日本に侵略しようとしても、挑発したり、受けて立とうなんて考えてはいけない、常日頃から、友好関係をアピールして、話し合いをしようとしなければいけない、なんて韓国人は考えてはいない。

 

 これまた、日本人のほうがよほどおかしいという意味で言うのである。

 

 現に日本人は、自国の憲法国防軍を持っていなくても、平気な人は多く、したがって、米軍基地が必要だという現状に何の抵抗もない人が多い。

 他国の軍隊が自国に存在し続けるということに抵抗感が少なく、ぜひとも他国の軍隊に去ってもらうためには、自国の自前の国防軍がなければダメだとも考えていないのが日本人だ。

 その点、同じ駐留米軍がある韓国の場合は、国防軍あっての駐留米軍で、もちろん、有事の場合は、韓国軍が率先して戦う用意があるのだが、日本の場合は、それさえあやふやで、なるべくだったら、自衛隊員はまるで死なないで、米軍にすべて任せたいとさえ思っているだろう。

 

このような日本独特の「絶対平和思想」は、日米戦争を振り返る時、ある特徴を持って現れるのだが、日本人にとって、あまりにも骨がらみの思考であるために、違和感さえ感じられないのだ。

 日米戦争を振り返る時、日本人には、基本的に、二つの発想しかない。

 悪だったか、やむを得なかったか(肯定すべき面もあったというのも含む)という二つだけである。

 では、ほかになにが忘れ去られているのか。

 それは、日米戦争ではなく、ソ連と戦争するべきだったのだ、という発想である。

 

 まず、こういう答えは聞いたことがない。

 

 大東亜戦争を肯定して、あの戦争があったからこそ、アジア各国が英国・フランス・オランダの植民地支配を脱する大きなきっかけになった、という言い方は多い。

 しかし、それは日本人が肯定するに足る事柄であろうか。

 なぜなら、大東亜戦争、すなわち、中国、東南アジア、南太平洋を主戦場とするのではなく、ソ連一国を敵として戦っていれば、どうなったか。

 

 満州引き上げの婦女子はソ連に惨殺されることはなく、シベリアの捕虜が労働と病気で60万人以上死ぬこともなく、南樺太、千島、北方4島の人々がほうほうの態で、日本に逃げ帰ることもなかった。

 また、ソ連と戦っていれば、当然アメリカは真珠湾攻撃を受けてはいないのだから、アメリリカ国民のしたくない戦争をあえてアメリカの指導層が決行する理由もなく、日米戦はなく、したがって、大空襲も、広島長崎への原爆投下もない。

 

 憲法は基本的に明治憲法のままで、奇妙奇天烈な9条もないことになる。

 おそらく、北朝鮮はなく、韓国というけったいな反日国家も存在していないし、中国共産党政権は生まれていない。なによりも、日本がスターリン政権を倒していれば、カンボジアクメール・ルージュによる大量殺りくもなく、エチオピア共産主義メンギスツ政権の計画的餓死殺人もない。

 ましてや、中国共産党大躍進政策による4千万人におよぶ餓死も、文化大革命の悲劇もなかったことになる。

 

 ドイツがソ連に侵攻した時が、日本にとって最大のスターリン政権を崩壊させるチャンスだったのだ。ヒトラーは個人的に極端に奇矯な思想の持主であり、一代限りの異常者とそのグループという側面を否定できないから、ドイツ、日本が東欧方面と極東方面から、ソ連を占領すれば、アメリカとすれば、日本とドイツの二正面作戦は止めて、ドイツを倒すことに専念できたまでのことだろう。

 しかも、ヒトラーはそのうち、ドイツ自身が暗殺した可能性が高い。

 

 こうして、暫時アメリカと英国、フランス、日本は、共産主義ソ連ファシズムドイツを倒した後の国際連合を新たにスタートさせて、自由貿易を発展させて行ったと考えてもおかしくない。

 

 では、念のために、左翼の「日中戦争は侵略」「米英ソに侵略国家日本は制裁されたのだ」平和主義を持っていなかったから、ダメだったのだ、という考えを検討してみよう。

 

 この考えでは、満州進出もせず、中国を戦場とすることはもちろん、米英に宣戦布告したのが悪いというわけだが、当然、ソ連に宣戦布告?論外だよ、ということなのだろう。

 しかし、本当にそうか。

 

 満州に進出せず、ソ連に侵攻しない、そして、日本は全方位的に「話し合い絶対主義」となると、おそらくいずれは、ソ連満州・朝鮮・中国と占領地域を拡張し、そこを拠点にして、中国共産党を支援。満州はロシア領、朝鮮半島はロシア領かもしくは、半島全域がソ連の衛星国になったのは間違いなく、ソ連崩壊後は、半島は内戦を起こしたのではなかろうか。

 

 日本左翼のおかしいところは、侵略戦争への反省といって、戦前日本が平和主義だったら、よかったような事を言うが、戦前日本が絶対平和主義で平和主義なら、ソ連は南下しないのか、という疑問は考えようともしないということなのだ。

 

 このように、現代日本人は、ソ連に攻め込んでこそ、満州引き上げの途上での婦女子の悲惨な運命、シベリア抑留の残酷もなく、沖縄戦、アジア、太平洋地域の日本国民一般兵士の悲惨な戦死、苛酷な戦場体験もなかったのに、そして、ソ連に対してドイツ、日本が挟み撃ちにして、スターリンを失脚させていれば、ドイツ分断も半島分断と半島の戦争も、ベトナム戦争もなかったのに、という痛哭の念が一切ないのである。