辻元清美の反天皇制論
1998年第三書館「辻元清美の永田町航海記」で辻元清美は「私は、天皇制は日本国憲法の主権在民、法の下の平等という精神とは相容れないものだとずっと思っていた。」とある。
憲法の一条から八条までを削除したい、というのである。
しかしこの辻元清美の論法はおかしい。
というのは、日本国憲法の精神に相容れないというが、「主権在民」を表した条文それ自体が、主権のある日本国民の総意に基づくという、天皇条項にあって、天皇条項を消去すると、同時に主権在民規定も消えてしまうのである。
前文には国民主権規定はあるが、条文には、天皇条項に込みで書かれているのである。そして、国民主権とは、国政、と政府、立法権の権力、司法権の由来のことを言っているのであり、天皇は「国政」に関与しない存在なのだから、前文の精神とも矛盾してはいない。
辻元清美は、憲法1条から8条までを抹消するというが、抹消した場合、どの条文に
主権在民が明記されているというのだろうか。
確かに天皇条項に主権のある日本国民の総意に基づくという文言がなかったならば、辻元清美のいう日本国憲法の主権在民という原則と矛盾するという屁理屈も多少通ったかも知れないが、「主権のある」と決めたのも、日本国憲法なら、主権のある国民の総意なんだ、と決めたのも、日本国憲法なので、それ以外にどこにも根拠はないのだから、一方を消す根拠はどこにもないのである。
ただ、辻元清美は「日本国憲法のこの部分は気にいらない」と言う気分を勝手に「矛盾する」と強弁しているに過ぎない。
矛盾するもなにも、日本国憲法そのものが、「主権の存する国民の総意に基づく」と書いているんだから、矛盾していないとしか言いようが無いではないか。
法のもとの平等とは、憲法14条に規定されているのであるが、これに違反するのは、「法律」であって、憲法条項が同じ憲法内の他の憲法条項を憲法違反などとする判断をする規定はない。
つまり、辻元清美が勝手に憲法のこの部分は嫌いだと言っているに過ぎない。