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立花隆批判 「天皇と東大」を読む 15

立花隆 「天皇と東大」立花隆の戦前観批判

 

立花隆天皇と東大」第4巻<大日本帝国の死と再生>には、文庫版のためのあとがきがあり、そこに非常に興味深いことが書かれている。

 

いまの若い世代は驚くほど歴史を知らない。特に近現代史を知らないと立花隆は言うのだが、たしかに事実その通りだろうが、歴史本が現にあるのに、読まないから知らないのではなくて、日本知識人の力量として、近現代史の通史を書けないで来たから、知らないのである。

 

 はばかりながら、かく言う私も書けないし、おまえも書けないよな、と思う君も書けまい。

 ただ、大事なのは、日本には、次の異なる史観が併走しており、併走するがゆえに、常に新しい世代を強度の混乱に陥れているということだけは整理する必要はあろう。

共産党系表現代史観(明治維新以来皆侵略)

※ その最後の爆発態としての「満州事変から敗戦までの15年戦争区分」

また、近年の15年戦争新バージョンの「アジア太平洋戦争呼称」

共産党系裏現代史観(明治以来皆英米・白人のアジア侵略に対抗してきた)

民社党自虐史観 日露戦争以来狂った侵略に走った

④非共産党系(旧社会党民進党系) 絶対的な「話し合い」「友好」「武力放棄」を善として、明治維新以来「武断国家」だったとするもの

⑤保守民族派の自存自衛戦争アメリカ民主党政権とチャーチルによる戦争謀略ひきこみ論

⑥保守民族派のヴェノナ文書からするコミンテルン陰謀史観

⑦保守自由主義派の満州事変までのロシア警戒の正当性と反英米という失策という戦中政権批判

立花隆は強いていえば、④の認識に近い。

 

 これだけ、根本的に異なる立場が並立しているようでは、仏教諸派でもあるまいし、頭がおかしくもなろう。

 

 近現代史の通史がないから、大手テレビ局のディレクター、プロデューサーが参照すべき通史がない。通史がなければ彼らテレビ局の担当者は実際にどうするかというと、半藤一利、保坂正康のような通俗歴史家の解説、著述に頼る。

 

 市民平和運動なるものはそれはそれで、共産党員、社民党員の歴史家に頼るから、馬鹿げた歴史解釈が大手をふってまかり通る。

 

 立花隆はそうした状況の末の若者の近現代史無知に対して決定版的な近現代史通史をかなり広範な資料を提示しながら、無知から理解と得心に向けて若者を誘おうと企図したようなのだ。

 

 しかし、立花のこのある意味、日本近現代史の通史とも言っていい試みは、これまた、かなりデタラメな近現代史把握を初心の読者にもたらす。

 

 いったい立花の披瀝する見方のどこが、とんでもなくおかしいのか、摘出して見せよう。

 

 昭和天皇は、あの狂気の大戦争をその名のもとに行った天皇であり」

 これがまず、おかしな言いぐさだろう。

 なんともはや、小狡くこそくな表現である。相も変わらず、保坂正康、半藤一利はじめ多くの親日共産党系の学者、姜尚中などの繰り返してきた「天皇の戦争責任」主張の言い換えなのである。

 

 「昭和天皇はあの戦争の全局面を仕切った天皇なのだ」と言うにいたっては、阿呆なのか?と疑いたくなるではないか。立花隆自身が「天皇と東大」という

四分冊もの大著で、どこに天皇が全局面を仕切っていると理解できる記述があるのか。

 実際に立花隆がこの本で提示している史実は、非常に多くの戦前戦中知識人が社会の多様な方面でカルト宗教と政治運動が癒着していった様相であり、ちっとも、昭和天皇が采配仕切ってなどいない。

 

 立花隆の言い分が通るなら、立花隆の提示した戦前の奇矯な学者たち、平泉澄きよしや箕田胸喜、大川周明北一輝たち自身が天皇であった場合である。

 が、もちろん事実はそうではない。

 主役は天皇であるよりもむしろ、立花隆が提示した知識人たちの絡み合いにあるのは明らかなのであるが、自分でそういう本を書いておいて、ケロっとすべてはしょって、結局「昭和天皇はあの戦争の全局面を仕切った天皇なのだ」と、ありもしない結論を書いてしまうのが、立花隆のおかしなところだ。

 

 敵味方を含め、数百万の人を死に追いやったのは、立花隆は、「天皇」だと言うが、立花隆がこの本で提示した内容を理解した者がそういう理解にいたるとは、思えない。近衛、平泉澄きよし、東條英機が元凶であろう。少なくともこの本が提示している史実から、理解できる敵味方を含め、数百万の人を死に追いやった者がいるとすれば、この三人が筆頭でなければならない。

 

 おそらく立花隆がふとこっている理想とは、暴力内乱無しに、皇室を廃止し、その上ですぐかさらに長い将来かはともかく、大企業を公有化する社会主義に近づけて行くということを理想にしているのではなかろうか。

 

 立花隆はできるだけ公平に書いたつもりだ、とあとがきで書いているが、そういう事を言う資格は無い。「小泉首相靖国参拝にぶつけて南原繁を語る会を開いた」と完全に党派性を丸出しにしている。

 公平になるつもりなら、靖国などという宗教施設について何も言うべきではないし、靖国について明確に反対するなら、公平に書いたなどと嘘を言うべきでは無い。だいいち、 「昭和天皇はあの戦争の全局面を仕切った天皇なのだ」などとどうして公平を期する者が書けようか。

 

 特筆大書しておかねばならないのは、つぎの事実である。

 立花隆は、彼本人の意向によって、「8月15日と南原繁を語る会」に次の人物を招待して、一席ぶつ事を依頼した。

 

 大江健三郎佐々木毅姜尚中辻井喬高橋哲哉、などの面々である。なんのことはない、全員、反米反市場主義、親共産主義者親北朝鮮人士たちである。

 

 

 

 

 

 

 

 

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