日本と北朝鮮の関係 小史 2
※「共産主義による内戦統一」というロシア革命以来世界に広まった妄想が、北朝鮮と米国の対立、韓国と北朝鮮の戦争の原因であって、日本とは何の関係もない。
日本が半島を放棄したあと、半島に共産主義がなければ、分裂していない。
日本が朝鮮戦争の際に物資を売らなければ、韓国人は今頃、北朝鮮に差別され、貧乏していただけ。
承前
旧社会党、日本共産党、朝鮮総連による「北朝鮮は社会主義の楽園」という嘘宣伝によって北朝鮮に帰国した在日朝鮮人は、どうなったかというと、
- 日本からの帰還者は「動揺分子」であり、「監視対象」である。
要するに、北朝鮮とは、現代日本の良心的知識人が声高に言いつのってやまない差別主義糾弾の、まさに世界でももっとも極端な出身成分によって国家が個人を監視し続ける全体主義国家であり、究極の「差別主義」国家なのである。
しかも、その基準は常に北朝鮮の「社会安全部」と「国家政治保衛部」によってどのようにでも変化するので、個人は対処不能のまま、いつどのような理由で、突然、強制収容所に収容されるか、予想がつかない。
以上の説明は、脱北者によって告発された北朝鮮全体主義の実態である。
あらためて、「関東大震災で朝鮮人虐殺は6千人あった」だの「いや、なかった」「6千人は誇張だ」と言うレベルで正当性を主張している人々の多いのには、驚きとともに、その愚劣さに唖然とする。
朝鮮人虐殺6千人だと強く主張する態度は、ちょうど北朝鮮帰国事業を日本共産党、社会党、朝日新聞が、その帰国事業を進めるにあたって、大きな理由として主張した、在日朝鮮人のほとんどすべては、強制連行だったという誇張と嘘がもたらす動機、効果の点でまったく同じなのであり、「われわれ日本人が朝鮮人に申し訳ない加害行為をしたから、おわびに、積極的に北朝鮮帰国事業に協力すべきものだ」というものなのであるが、現代にいたって、「強制連行の神話」が崩れて、さらに北朝鮮に帰国して永住したいという人がもはやいなくなっても、今度は、「ただそれが、歴史の動かしがたい事実だから。歴史の事実を隠蔽するな」と、真実の守護者が目的そのものになってしまっているのである。
あたかも、最初から、北朝鮮の正当化と歴史認識が結びついていたことなんかまるでなく、ただ歴史論争をし続けているかのように。
何よりも、かつて朝鮮人の被害者性を声高に主張することによって、在日朝鮮人を北朝鮮の送り出した事への罪の意識、躊躇、内省がまったくないのが、奇異でさえある。
これには、ひとつ理由が考えられる。
一義的にこの北朝鮮帰国事業時にあらゆる被害者性を強調した当人がしらばくれてそんな過ちはなかったかのようにして、ただ、在日朝鮮人の強制連行説ははじめから言ってなかったことにする。そして、慰安婦強制連行も、話題にしないことにする。
そして、嘘と誇張がバレそうにない、嘘の証拠がみつかりそうにない関東大震災大虐殺については、「否定派と認めて反省する者の対立が続いてきた」という構図にする。
だが、本当は過去にあったことが、嘘か本当か、非人道的行為を反省するために、過去の事実を認める、そういう問題ではない。
朝鮮人の被害者性が日本人に信じられれば信じられほど、あるかもしれない隣国に賠償金が支払われるという理由とまったく無関係ではありえない。
また、関東大震災当時、なぜ上海独立臨時政府派が、6千人虐殺されたと主張したかと言えば、それを世界の人道的道徳を持つ有力者たちが、朝鮮民族の独立に同情して、資金を供与したり、無関心な半島人が憤って独立運動に立ち上がるという動機なのであって、日本人の道徳性の回復や将来の過ちを繰り返さないことが目的なのではない。
このことがなぜ解決が難しいかというと、日本は英米とはちがって、社会制度こそ、資本主義を維持してきたものの、戦前戦後を通じて旧帝国大学の主流はマルクス主義がおおってきたために、最高レベルの知識人から、あらゆる職業の大学卒業者から独学の読書人まで、英米保守主義の「自由の哲学」にほとんど無縁の思考をしながら、歴史を考えるパラダイムの罠に日本人ははまりこんでいる。
そこで、国家権力の暴走の極端でわかりやすい形の政治現象をやり玉にあげることに何年でも固執するのではないかと思われる。
それは、軍国主義批判であり、ナチズムの史実をよく知っているか、それとも知らないから安易に肯定してしまう人間に対して、一斉に攻撃、嘲笑を加えることが、知性ある者の義務であるとでも言わんばかりに高揚する。
だが、これこそ教科書的知識と結びついた人道主義にしがみついてよしとする知性の衰退の兆候である。